六壬式盤と渾天儀:陰陽道の占術と天文観測装置

晴明神社の清明像 陰陽師

陰陽師の世界には、普段なじみのない独特な用語がいくつも登場します。

それぞれの言葉には意味や成り立ちがあり、その背景を知ることで、陰陽師が登場する作品をもっと楽しめるようになるでしょう。

【陰陽師の世界の独特な用語の解説】 今回は、「六壬式盤と渾天儀」について解説します。

陰陽道において、未来を予測し、自然の流れを把握することは重要な要素です。

そのため、陰陽師たちは古代中国から伝わった「六壬式盤(りくじんしきばん)」や「渾天儀(こんてんぎ)」といった特別な道具を用いました。

六壬式盤は陰陽師が天体や方位を読み解くために使用し、渾天儀は星の運行を観測し、宇宙の秩序を知るための器具です。

今回は、六壬式盤と渾天儀の役割や使い方について解説し、それぞれの意味と陰陽道における意義についても触れます。

六壬式盤とは?-占術の歴史と構造

六壬式盤は、陰陽師たちが天体や方位の影響を占うために使用してきた道具です。

「六壬(りくじん)」とは、中国における古代の占術の一つで、方位や時刻、星の動きに基づいて運勢や未来を予測する技術です。

この占術を行うために用いられるのが「六壬式盤」であり、陰陽師が使用する際には占いたい内容に応じて特定の方位や時刻を設定して占います。

六壬式盤の構造

六壬式盤は、円形の盤面に複数の円や方位、文字が刻まれているのが特徴です。

円の内側には、「天干(てんかん)」や「地支(ちし)」と呼ばれる中国古代の暦や、五行(木・火・土・金・水)などが記されています。

陰陽師は、これらの情報をもとに、六壬式盤を回転させて方角や天の動きに合わせ、占いを行います。

盤の読み方によって、災いが発生する方角や、吉方(きっぽう)などを見出すことができます。

六壬式盤の使用方法-陰陽師による予言と方位の決定

六壬式盤を使用する際には、盤を特定の方位に合わせ、天干・地支に基づいた天の動きと一致させる必要があります。

このようにして占術を行うことで、以下のような情報が得られるとされています。

吉方(きっぽう)と凶方(きょうほう)の特定:吉方は幸運をもたらす方位、凶方は災厄のある方位とされます。六壬式盤で方位を確認することで、どちらの方向に進むべきか、どの方角を避けるべきかを知ることができます。

未来の予測:特定の時期や方位に影響を及ぼす天体の動きから、未来の運勢や出来事を予測できます。
特に重要な儀式や大事な決断を行う際に、六壬式盤はその決断が適切であるかを導く手助けとなりました。

六壬式盤の使い方を正確に習得するには高度な知識が求められ、陰陽師たちは日々の修行や学びの中で六壬式盤を操る力を磨いていました。

渾天儀とは?-陰陽道の天文観測装置

渾天儀(こんてんぎ)は、陰陽道における天文観測のための器具であり、星々の運行を観測し、宇宙の秩序や天体の動きを理解するために使われました。

渾天儀は、星や惑星の位置や動きを正確に再現するための装置で、陰陽師たちはこれを通して宇宙の法則や自然のサイクルを把握し、吉凶を占う基礎としました。

渾天儀の構造と仕組み

渾天儀は、内部に球体を持つ立体構造で、球体には黄道や赤道、星座などが描かれています。

球体を回転させることで、天体の運行が再現され、星や月、太陽の位置を確認できます。

渾天儀には星々の座標が刻まれ、これにより天体の動きが視覚的に理解できるようになっています。

また、陰陽道では渾天儀を使って月齢を読み取ったり、季節ごとの星の位置を把握したりすることで、未来に起こりうる自然災害や、吉凶の時期を予測するための基礎データとして使用されました。

六壬式盤と渾天儀の関連性と違い

六壬式盤と渾天儀は、どちらも未来を予測し、方位や時期を知るために用いられましたが、使用目的や方法にいくつかの違いがあります。

六壬式盤は、方位や運勢を占うための道具で、盤の位置を特定の方角に合わせることで、未来の出来事を予測するものです。現実の時間や方角に基づいて決断をするために使用されました。

渾天儀は、天体の動きを再現し、星の位置や季節の変化に基づいて吉凶を占うための器具です。宇宙の秩序や星の流れを観測し、周期的な動きの中から自然のサイクルを把握します。

このように、六壬式盤は特定の方角や時期の運勢を見るための占術具、渾天儀は宇宙全体の運行や秩序を観察するための天文器具として、それぞれ異なる役割を持っています。

現代における六壬式盤と渾天儀の意義

現代において六壬式盤や渾天儀を使うことは少なくなっていますが、その考え方や道具としての役割は、今も陰陽道の歴史や占術に深い影響を及ぼしています。

特に以下のような場面で、六壬式盤と渾天儀の知識や考え方は活用されています。

方位の重要性:現在でも風水や方位占いにおいて、特定の方角が運勢に影響を与えると信じられています。六壬式盤が示してきた方位の吉凶の考え方は、現代の生活にも反映されています。

星の運行と人生:星座や星の動きに基づいて運勢を占うホロスコープ占いなど、星と人生の関係を考える習慣は渾天儀の考え方と共通しています。天体の動きが私たちの生活に影響を与えるという考え方は、現代でも占星術や気学などの占いに活用されています。

自然のサイクルの把握:六壬式盤や渾天儀は、自然界の法則を読み解くための器具でした。現代の環境学や地球科学でも、こうした自然のサイクルを理解することは、災害予防や環境保全に役立っています。

まとめ

六壬式盤と渾天儀は、陰陽道において方位や未来を占うために使用されてきた重要な道具であり、どちらも未来の吉凶を知り、適切な行動を取るために用いられました。

六壬式盤は方位と運勢の予測に、渾天儀は天体の観測と宇宙の秩序の理解に役立てられ、陰陽師たちはこれらの器具を駆使して、さまざまな決断を行いました。

現代では使用機会が減ったものの、六壬式盤や渾天儀の知識は、風水や方位占い、占星術の中にその考え方が残り、私たちの生活に間接的に影響を与えています。

古代の知恵を受け継ぎ、自然や宇宙との調和を考えるための参考として、六壬式盤と渾天儀の意義を理解してみてはいかがでしょうか。

陰陽師が登場する作品は、小説、漫画・アニメ、テレビドラマ・映画にたくさんありますが、今回また、陰陽師の独特な用語を知ったことで、これからはいままでよりもっと作品を楽しめるようになるはずです。

次回は、「呪符・霊符と太上神仙鎮宅霊符とは?陰陽師が使う護符の秘密を徹底解説」です。