九字と急急如律令の意味と使い方-陰陽師の霊的防御と呪術の力

清明神社の拝所 陰陽師

はじめまして。ウニザベスといいます。

陰陽師の世界には、普段なじみのない独特な用語がいくつも登場します。

それぞれの言葉には意味や成り立ちがあり、その背景を知ることで、陰陽師が登場する作品をもっと楽しめるようになるでしょう。

【陰陽師の世界の独特な用語の解説】 今回は「九字と急急如律令」について解説します。

陰陽道の世界には、霊的な力を活用するための秘伝の技術が数多く存在すると言われています。

中でも「九字(くじ)」と「急急如律令(きゅうきゅうにょりつりょう)」は、特に重要な呪法の一つとして広く知られています。

九字は身を守り、霊的な防御を強化するための呪法であり、急急如律令は命令を霊的な存在に伝える言霊として使われます。

今回は、九字と急急如律令の意味や使い方をわかりやすく解説し、それぞれの効果や現代での応用方法についてもご紹介します。

九字とは?-その由来と意味

九字は陰陽道で用いられる特殊な呪文で、特定の動作と共に唱えることで、強力な霊的防御を築くことができるとされます。

九字は「臨(りん)・兵(ぴょう)・闘(とう)・者(しゃ)・皆(かい)・陣(じん)・列(れつ)・在(ざい)・前(ぜん)」という九つの言葉を順に唱え、それぞれに対応する手の動き(九字の印)を組み合わせます。

九字の歴史と意味

九字の発祥は古く、武士や陰陽師にとって欠かせない防御術として発展してきました。

九字のそれぞれの言葉は、霊的な防御を意味し、特に戦場での護身や、邪悪な存在から身を守るために使われました。

例えば、「臨」は自らの霊的な波動を高める意味があり、「兵」は力強さを象徴しています。これらを順に唱えることで、霊的なバリアを形成し、悪霊や邪気を防ぐ効果があるとされています。

九字の切り方と指の形-動作と音に込められた霊的な力

九字を唱える際、言葉とともに指で「九字の印」を切ることが重要です。

印を切ることで霊的な防御の効果が強まり、心と身体が守られるとされています。

ここでは、各言葉に合わせた指の動作について詳しく説明します。

臨(りん)

意味:霊的な波動を自らの内に呼び起こす

指の形と動作:両手の人差し指と中指を立て、他の指は握りこぶしにします。この形で腕を胸の前で交差させ、力強く広げるように動かします。

兵(ぴょう)

意味:強力な守護の意志

指の形と動作:両手の中指と薬指を立て、他の指を握ります。この形で両腕を前方に伸ばし、広がるように力を入れます。霊的なバリアを広げるイメージです。

闘(とう)

意味:対峙する力を高める

指の形と動作:両手の人差し指と薬指を立てて交差させ、拳を固く握ります。この形で両腕を前に突き出し、勇敢に戦う力を意識して唱えます。

者(しゃ)

意味:身を守る覚悟

指の形と動作:両手の親指と人差し指を伸ばし、三角形を作るように指先を合わせます。この形で両手を胸の前で構え、深く呼吸をして霊的なバリアを固めます。

皆(かい)

意味:全方向に防御を広げる

指の形と動作:人差し指と中指を立てて揃え、両手を左右に開いて広げます。手のひらを外に向けて、周囲のすべてを守るようなイメージで唱えます。

陣(じん)

意味:敵に対する防壁

指の形と動作:両手の人差し指と親指で四角形を作るように構えます。この形で前方に向けて突き出し、防御の壁が形成されるイメージを強めます。

列(れつ)

意味:防御の層を形成する

指の形と動作:両手の指をすべて伸ばし、胸の前で上下にずらしながら重ねます。この形で防御の層を作り、霊的な守護が厚くなるよう意識して唱えます。

在(ざい)

意味:霊的な防御が存在することを宣言

指の形と動作:両手の人差し指を立て、他の指を握ります。この形で自分の胸の位置に手を置き、防御が内に存在していることを意識します。

前(ぜん)

意味:霊的な防御を前に構築する

指の形と動作:両手の中指を立てて前方に突き出し、意識を一点に集中させます。前方に強力な霊的バリアを張るイメージで、最後の言葉を唱えます。

急急如律令とは?-陰陽師の命令形の言霊

「急急如律令(きゅうきゅうにょりつりょう)」は、陰陽道で使われる命令形の言霊です。

主に呪術を完了する際や霊的な存在に指示を与えるときに使用され、命令が速やかに成就するよう願いを込めた言葉として重要視されてきました。

急急如律令の意味

「急急」とは、「速やかに行え」という急ぎの意味を持ち、「如律令」とは「律令(りつりょう)に従って行え」という意味です。

律令とは、古代中国の法典のことで、絶対的な命令や規範を示すものです。

したがって「急急如律令」とは、「速やかに法に従って行え」という強い命令形であり、陰陽師が霊的な存在に対して従わせるために用いる言葉です。

急急如律令の使用方法と効果

急急如律令は、呪文や儀式の最後に唱えることで、霊的な力が発動しやすくなるとされます。

この言葉は霊的な存在を指示に従わせるための命令であり、特に以下の場面で使用されることが多いです。

霊的な護符の作成時:護符に命令を込め、持ち主を守る力を発揮させる。

式神の召喚:式神に対して任務を速やかに遂行させるため。

呪詛の封じ:悪意のある呪いを封じ、返しの力を持たせる際に用いる。

「急急如律令」を用いることで、陰陽師の命令が強力に霊的存在へ伝わり、その効果が速やかに発動することが期待されます。

九字と急急如律令を現代にどう応用するか?

現代では九字や急急如律令のような呪法はあまり使用されませんが、日常生活の中で霊的な考え方として応用することも可能です。

例えば、ストレスや困難に直面したとき、心を落ち着けながら九字の言葉を静かに唱えることで、内なる力を高め、冷静に状況に対処できるようになります。

現代での活用法の一例

心の安定:困難な場面で「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」を順に心の中で唱え、心を安定させる。

集中力の向上:「急急如律令」を唱えることで、自分に対して強い意志や集中力を持たせ、行動の精度を高める。

護身のおまじない:日常生活で不安を感じるとき、「九字」を自分なりにイメージし、安心感を得る手段として取り入れる。

九字や急急如律令は、現代においても霊的な考え方として心の平安や集中力向上に活用することができます。

まとめ

陰陽道における「九字」と「急急如律令」は、古代から続く強力な呪法であり、霊的な防御や命令の力を高めるために使われてきました。

九字を唱えることで霊的なバリアを形成し、急急如律令を用いることで命令を速やかに実行させる力が発揮されます。

現代においても、九字や急急如律令を活用することで、心の安定や霊的な平安を感じる方法として役立てることができるでしょう。

これらの古代の呪法を理解し、日常生活の中で活用してみるのも楽しいのではないでしょうか。

陰陽師が登場する作品は、小説、漫画・アニメ、テレビドラマ・映画にたくさんありますが、今回また、陰陽師の独特な用語を知ったことで、これからはいままでよりもっと作品を楽しめるようになるはずです。

次回は、「六壬式盤と渾天儀:陰陽道の占術と天文観測装置」について詳しく解説します。